本当にあった怖いかもしれない話 三つ

17〜18歳くらいの時、当時、俺は格闘技をやりながらアルバイトをしていた。

家から少し離れた、普段子供たちが野球やなんかをやってる広場に向かって自転車を走らせていた。

夜の国道。前の方に人影が見えた。

最初はそれがこっちに向かって歩いているのか、向こうへ歩いて行ってるのかもわからなかった。

その人影はどうやらこっちに向かって歩いているようだったが、右に左にふらふら動いている。

すぐ横は車道で、車がバンバン走っている。

そいつは酔っぱらいなのかと思った。

だんだんそいつとの距離が縮まってくる。

ついにすれ違った。

一瞬顔を見た。

老人だった。

笑ってた。

男か女かはわからなかった。

「チリーーーン」と鈴の音を鳴らしながら歩いていた。

俺は「変な奴もいるもんだ」と思い、自転車で先を急いだ。

右に折れて車道を突っ切った。

自転車を押しながら目的の広場を目指した。

前方に人影があった。

一人で自主トレしたかったのに先客がいたのかとガッカリした。

その時、人影が右に左にふらふら動き出した。

「チリーーーン」

鈴の音。

さっきすれ違って、そのまま真っ直ぐ進んで来た俺の後ろにいた奴が、目の前にいるはずがない。

でも前にいるのは間違いなくさっきの奴だった。

俺は「ヤバい」と思い、逃げようと思った。

今すぐUターンして一目散に逃げたかったが、そいつに背中を向けると、後ろから飛びかかって来そうな気がしてそいつに背中を向けられず、ゆっくり後ずさりするようにして逃げて行った。

「チリーーーン」

そうしている間にも鈴の音は聞こえるが、どうもその音がそいつから聞こえているのではないような気がした。

俺のすぐ左側から聞こえているような気がした。

俺は恐る恐る左側に顔を向けた。

そこは一面、墓地だった。

何故かそこからの記憶が曖昧で、俺はずっと後ずさりするようにして逃げたのかUターンして逃げたのか覚えていない。

その日は朝から大雨が降っていた。

俺はレインコートを着て自転車に乗り、職場に向かっていた。

歩道を走っていた時、前の方の地面に何かがあった。

嫌な予感がした。

予感は的中した。

それは猫の死体だった。

大雨に打たれ、血がほとんど流された、変な言い方だが綺麗な死体だった。

白猫だった。

俺は急いでいたから、埋めてやることも出来ずに、せめて道の端の方に死体を移動させてやった。それくらいしか出来なかった。

夕方、仕事が終わり、雨もすっかり止んでいた。

自転車に乗って帰っている時に思い出した。

今朝の猫の死体のこと。

俺は「今朝端にどかしてやった猫の死体がまだそこにあったら嫌だな」と思いながらそこへ来た。

すると、まだそこにあった。しかも、確かに今朝道路の端に寄せたはずなのに、真ん中にあったのだ。

俺は何故だろうと思い、さらに近付いてみた。

それは三毛猫だった。

今朝の白猫じゃなかった。

血にまみれた死体だった。

もう雨は止んでいたのだ。

つまり、同じ日に同じ場所で猫が二匹死んでいるのだ。

俺は、今朝死んだ白猫が、この三毛猫を「呼んだ」のかと思った。

俺はバンダナで猫の死体を包み、せめて土の上で死なせてやろうと草むらに寝かせた。

17〜18歳くらいの時、俺は格闘技をやりながらアルバイトをしていた。

12月の寒い夜だった。

俺は普段、子供たちが野球やなんかをやってる広場を目指して走っていた。(お気付きだと思うがその広場で、先ほど書いた幽霊らしきものと、その後遭遇することになるのだが)

広場を何周も走った。

ちょっと休憩しようと思い、座り込んだ。

ジーンズのまま走りに出掛けていたので、ポケットに携帯電話が入ったままだった。

俺はなんとなくカメラ機能で自分の顔を撮った。

そしたら写っていた。

俺の顔の横に白い顔が。

俺は不思議と怖くはなく。

「これは、帰ったほうがいいのかな?」みたいに思って帰った。

帰って写真をよく見た。

写真に写っている俺の顔の横の、白い顔。

真っ黒い背景に白い色鉛筆で描いたような顔。

よく見るとその顔の右上らへんにもう1つ小さな顔があった。

俺は、これは水子の憑いた女の霊なんじゃないかと思った。

約1か月後。

俺はTSUTAYAで借りた稲川淳二のビデオを部屋で見ていた。

正直すごく怖くなった。

確かに部屋の中には自分しかいないが、誰かもう一人いるような気配がした。

俺は携帯電話のカメラで自分を撮った。

また写っていた。

黒い服を着た僕の袖に。

黒い袖に白い色鉛筆で描いたような顔。

よく見るとその顔の右上らへんにもう1つ小さな顔がある。

そう。

一ヶ月前と同じ顔だった。

僕はこの写真を友達に見せびらかした。

ある友達は僕の家に来ることを嫌がるようになった。

数年後、あることを知った。

母親は、僕の兄を産んで、そのあと僕を産む前に、子供を中絶したらしい。

…。

あの写真が撮れたのは、僕がアルバイトをしながら格闘技をやっていた時期。

母親が最も俺を心配していた時期。

あの写真に写っていた霊は、水子の憑いた母親の生き霊が俺を心配して出て来ていたのか?

俺はそう思った。

これで終わりならいい話なのだが、残念ながらまだ続きがある。

さらに数年後、またある事実を知ることになる。

中絶した子供は、双子だったらしい。

つまり、母親に水子が憑いているなら二人憑いているはずなのだ。

でもあの写真の霊に憑いている水子は一人。

やはりあれは母親の生き霊じゃなかった。

じゃあ一体、あれは誰なんだろう?

終わり