ジェイムス・テイラー『ダディーズ・スマイル』

原題は『Dad Loves His Work』ということで、にこやかなジャケットに反してカーリー・サイモンとの離婚直前、原因は家庭を顧みないで仕事ばっかりしているから、という感じで伝えられている時期の作品です。それでもって「父さんは仕事が好き」みたいなタイトルというのもどうかと思いますし、邦題がそのにこやかな微笑みのみをとって『ダディーズ・スマイル』とつけてしまうという矛盾も、知れば楽しめるエピソードかと思います。

内容は毎回感じるように、どれを聴いてもJT節、という感じで本当にいつ何を聴いても温かくて、いい曲、いい演奏が詰まっています。こんなにブレがない人も珍しいんじゃないでしょうか。安心して楽しめる作品です。裏を返すと作品毎の個性が希薄なので、聴いた後で「これ」といった印象が残らないのが難点です。

J.D.サウザーとのデュエット「憶い出の町」という曲は当時ヒットしたそうですが、これもJT節の一環として聴けば当然良い曲だし、他と変わらないと言えば変わらない。

とはいいつつ、JTのタイトルも少しずつですが揃ってきました。何となくライ・クーダーとかと同じで、トータルで味わってなんぼの世界かな、と感じていますが、いいものはいいので仕方ありません。徐々に聴いていくことにしたいと思います。